ジャズが聴こえる

私の好きなジャズレコード、ミュージシャンの紹介や、ジャズにまつわる思い出話などを綴っていきます。

Monk's Dream(セロニアス・モンク)

Monk's Dream

私の大好きなセロニアス・モンクです。好きなアルバムはいくつもあるのですが、まずはこれ『Monk's Dream』をあげてみます。

モンクは40年代初めから活動を開始して、チャーリー・パーカーディジー・ガレスピーらと共に、ビ・バップの黎明期から活動をしています。ですが、私の個人的印象では、ビ・バップの創設者というには違和感があります。
やっぱりビ・バップというと、パーカーに代表されるスタイルかなと思うのですが、モンクはその時代の流れなど関係なく、オンリーワンな演奏を貫いてきて、ビ・バップ等のくくりで見ることができない感じなんです。

私の好きなモンクのレコードは、50年代後半から60年代にかけてが多いです。ビ・バップが一時代を終えた後のモンクです。
この『Monk'S Dream』も1962年の録音とのことです。

『Monk's Dream』(Columbia 1963年)
Thelonious Monk (p)
Charlie Rouse(ts)
John Ore(b)
Frankie Dunlop(ds)
【収録曲】
#1 Monk's Dream
#2 Body and Soul
#3 Bright Mississippi
#4 Five Spot Blues
#5 Bolivar Blues
#6 Just a Gigolo
#7 Bye-Ya
#8 Sweet and Lovely

なぜこの時代のモンクが好きなのかを、このアルバムを聴き返して考えると、ひとつはサックスのチャーリー・ラウズの存在でしょうか。
モンクはコルトレーンをはじめとして様々なビッグネームとも共演していますが、チャーリー・ラウズがベストバートナーだという意見は多いみたいです。

このアルバムの曲でまずいいな、と思うのは、「Five Spot Blues」「Bolivar Blues」ですね。
シンプルなブルースだと、モンク独特のタイム感やフレージングがいかんなく発揮されている感じです。

次にというか、一番好きな曲は「Just a Gigolo」です。
この曲はソロ・ピアノで演奏されています。ただ単に、私がソロピアノが好きだということも、あるかもしれませんが…。
ちょっと古い感じのストライド・ピアノのスタイルも現れて、なんとなく物悲しく、切ない感じの曲です。

私はこの曲が好きになって、オリジナルの曲を聴いてみたいと探しました。
ところが最初に演奏されたのは1929年とかいう、とても古い曲みたいなんです。
本当のオリジナルにはたどり着けなかったのですが、特にこの曲の有名にした演奏は、1956年にルイ・プリマが歌ったバージョンです。「I Ain't Got Nobody」とのメドレーになっていて、聴くことができました。
ところが、このルイ・プリマのバージョンは、なんというか、陽気な感じの演奏で、全然モンクの演奏と違うわけです。
そしてこのメドレーバージョンで、ヴァン・ヘイレンのボーカリストだったデイヴィッド・リー・ロスもカバーしています。

最初聴いたときは、ルイ・プリマやデイヴィッド・リー・ロスのバージョンに、正直がっかりしたのですが、何度か聴くと、この「Just a Gigolo」も好きになってしまいました。
やっぱり曲自体がいいのですし、ルイ・プリマやデイヴィッド・リー・ロスもいい感じです。
それにしても、この二人の演奏は、あまりにモンクの演奏とは違います。「Just a Gigolo」は「リリー・マルレーン」で有名なマレーネ・ディートリヒも歌っていて、これはモンクの演奏に通じるイメージがあります。
ただ、古い曲で多くの人が演奏してきたみたいなので、誰が誰の歌や演奏に影響を受けたのか、よく分かりません。
それだけ歴史のある曲だということでしょう。やっぱり、名曲だと思います。

この曲はモンクのライブも含めた他のアルバムにも収録されています。モンクもこの曲が好きだったみたいですね。