ジャズが聴こえる

私の好きなジャズレコード、ミュージシャンの紹介や、ジャズにまつわる思い出話などを綴っていきます。

Piccolo(ロン・カーター)

Piccolo

私は1960年代生まれで、ジャズを聴きだしたのが1980年前後からなんです。
まだ若かったころのことです。そして若かったころに聴いた音楽は、歳をとっても忘れられないものが多い気がします。
この『Piccolo』も私がジャズを聴き始めた若いころ、話題に上がっていたアルバムでした。

『Piccolo』(Milestone 1977年)

Ron Carter(piccolo bass)
Kenny Barron(pf)
Buster Williams(b)
Ben Riley(ds)

【収録曲】
#1 Saguaro
#2 Sunshower
#3 Three Little Words
#4 Laverne Walk
#5 Little Waltz
#6 Tambien Conocido Como

なんでいきなり若い頃のことに触れるのかというと、私がこのサイトで紹介するアルバムは、1970年代後半から80年代にかけてのものが、どうしても多くなってしまうからです。つまり私が若かりし頃に話題になっていたアルバムですね。それと50年代60年代の、いわゆる「名盤」です。
逆に90年代以降のジャズは、私はあまり詳しくないと思います。
そんな偏りがある選び方では、このブログを見た人にとってあまり参考にならないのかもしれません。

ですが、1980年のころ、私がよく聴いたアルバムやミュージシャンが、だんだん忘れられていくのじゃないか、特に素晴らしい演奏が埋もれていってしまうとしたら、とても残念なんです。

この『Piccolo』もそうです。
どうなんでしょう。今も、このアルバムを聴いている人、知っている人は、どれだけいるでしょうか。発売された当初は、ジャズファンの中ではよく知られていたと思うのですが。
でも、とてもいい演奏なんです。だから、私の個人的な偏りはあると思いますが、これからも残っていってほしいと思って取り上げてみます。

前置きが長くなってしまいました。

このアルバムはベースにバスター・ウィリアムスが参加しています。通常のアンサンブルでのベースパートは、ほとんど彼が担当して、それにロン・カーターがからんでいる感じです。

私が一番このアルバムで「凄い!」と思うのは、ピアノのケニー・バロンとバスター・ウィリアムスです。その二人に、さらにロン・カーターが絡んでくる。本当に圧巻です。

例えば#1「Saguaro」のケニー・バロンのソロです。2ビート気味のゆったりとした入りから、4ビートそしてダブルタイムになってからが強烈です。後乗り気味に歌うバロンに対して、突っ込み気味に入っていくウィリアムス、それに奔放に絡むロン・カーター。もう、よく演奏が崩壊しないよな、と思うくらい、各々が自由に歌いまくってます。
つまり、各々がしっかり「自分の足で立っている」演奏です。
一人一人が自分の中のビートをしっかり刻んでいて、そしてアンサンブルとしてグルーブしている、もうジャズの真骨頂ではないでしょうか。
#3「Three Little Words」もそうです。すごいドライブ感です。頭、おかしくなっちゃいそうです。

生身の人間同士がぶつかりあう、ジャズの楽しさが存分に味わえる演奏です。
こんな演奏が、埋もれていってしまうとしたら残念極まりないので、紹介させてもらいました。

ちなみに私はこのレコードがきっかけで、ケニー・バロンが好きになり、色々な演奏を聴いたのですが、やはり私にとってはケニー・バロンとバスター・ウィリアムスのコンビが最高ですね。