ジャズが聴こえる

私の好きなジャズレコード、ミュージシャンの紹介や、ジャズにまつわる思い出話などを綴っていきます。

ジャズ喫茶って何だか分かりますか?

「ジャズ喫茶」と聞いて、どんなところは分かる若い人は、果たして今、どれくらいいるでしょうか。 かく言う私も、ジャズ喫茶全盛の1960年代を経験したわけではありません。
だけど、私が学生時代を過ごした1980年台の京都には、まだまだジャズ喫茶がありました。私はそこでジャズを聴いて、ジャズをBGMに本を読んだり、お酒を飲んだりしたのです。

ジャズ喫茶の特徴を挙げてみると

ジャズ喫茶には主にいくつかの特徴があります。

1. ジャズを流している
2. レコードのストックが豊富である。
3. オーディオ設備を充実させている。
4. 提供される飲食物の味は適当である。(飲食が目的で行く店ではない)

ジャズ喫茶は、ジャズを流している喫茶店です。
スターバックスのようなカフェは、いまも賑わっていますが、喫茶店自体が、特に関東では少なくなっています。だから往年の「喫茶店」をイメージするのは、今の若い人には難しいのかもしれません。
しかし、ここで喫茶店の説明からするわけにもいかないので、割愛します。

ジャズ喫茶は、ジャズを流している喫茶店というわけで、まず特徴は、なんといってもジャズのレコード(CD)を沢山揃えていることです。
そのレコードの内容や、そこから選んで店で流す内容によって、店の特徴が現れます。店によってはレコードのリストを置いたりして、客からのリクエストを受け付ける店もあります。

また、多くの店が、オーディオ設備に特徴を持たせています。一般人にはちょっと高価なアンプやスピーカを揃えていたりします。
音量も大きいのが普通で、会話を楽しむにはジャズ喫茶は向いていないかもしれません。店によっては音量も控えめで、BGM的にジャズを流している店もあるのですが、いわゆるジャズ喫茶と呼ばれる店では、おおむね音量は大きめです。

メニューは、コーヒーを含めて数種類しかない店もあれば、夜はお酒も出して、客にボトルキープをさせる店もあります。フードも、お酒類に対しての乾きモノ程度のメニューしかない店もあれば、パスタなども出す店もあります。
しかし、私がここで話題にしている昭和のジャズ喫茶では、大した飲み物・食べ物が提供されることは、ほとんどありませんでした。
現在、ジャズ喫茶と銘打って営業している店の中には、時代に合わせてメニューも充実させている所もあるようです。

消えていくジャズ喫茶

実際、私が若かった当時は、ジャズ喫茶のコーヒーのまずさが話題でした。もう少しなんとかしてほしい、という意見が私の周りでもありました。飲食店としての営業努力が無さすぎ、と言うわけです。
だけど、今になるとあのまずいコーヒーも懐かしく感じます。そもそも、ジャズを聴くのが目的でいく店だったので、それでよかったわけです。

ただ、そこがジャズ喫茶のすたれた一つの原因でもあったと思います。
自宅で良い音でレコードやCDが効ける環境が整えば、わざわざジャズ喫茶に出向いて、まずいコーヒーを飲む必要もないわけですから。時代が進んでいけばいくほど、あえてジャズ喫茶でジャズを聴こうという人も減っていったわけです。

また、かつては「ジャズ喫茶」という場所が、ジャズファン以外の人にとっても注目を浴び、流行っていた時代があったようです。
これは、私がリアルタイムで経験していない1960年台のころだと思います。 小説やエッセイなど様々なところから、かつてのジャズ喫茶が、いかに当時の若者たちをひきつけた場所だったか分かります。
村上春樹さんが作家デビュー前にジャズ喫茶を開いていたり、ビートたけしさんが若い頃、新宿のジャズ喫茶で働いていたりしていたことは、よく知られています。 それほど、当時の若い人たちの中に、ジャズ喫茶というものが浸透していたのでしょう。 その熱気も、だんだんと失われていったわけです。

京都のジャズ喫茶

1960年代をピークに、ジャズ喫茶は次々と姿を消していきます。
しかし、私が学生時代を過ごした1980年代の京都には、東京に比べて、まだジャズ喫茶が残っていました。
だいたい、京都という街は物持ちがいいようです。さすが、千年の都です。これは学生であった私にとっては幸運なことでした。

1980年代、もうすでに時代遅れの感があったジャズ喫茶ですが、私は京都でジャズ喫茶を通して沢山のジャズを知ることができました。 別のページで、私が過ごした1980年代の京都のジャズ喫茶を、詳しく書き留めたいと思います。