ジャズが聴こえる

私の好きなジャズレコード、ミュージシャンの紹介や、ジャズにまつわる思い出話などを綴っていきます。

1980年代、京都のジャズ喫茶(前編)

私が大学時代を過ごした1980年代の京都には、まだまだジャズ喫茶が何軒もありました。 その中で、私がよく利用したジャズ喫茶を、私の個人的な思い出も含めて紹介したいと思います。
なお、これらのジャズ喫茶は現在(2020年)、みな閉店しています。(RAGのみ移転)

BIG BOY

三条河原町から一筋下ったところにありました。別名、「親不孝通り」と呼ばれていた通りの入口です。「親不孝通り」とは、その通りに学生たちがよく利用する居酒屋やパブ、ディスコ(懐かしい!)が集まっていたからでしょう。
BIG BOYは私にとって特別なジャズ喫茶です。 なぜなら…私がアルバイトしていた店だからです。
スピーカーはJBLでしたが型番は忘れました。アンプはマッキントッシュでした。
繁華街にあるため、ジャズファン以外の人の利用も多く、いわゆる「ジャズ喫茶」的なアングラな雰囲気とは違って、女性客もよく来てました。
BIG BOYは私が働いた店でもあるので、そこでの出来事も含め、改めて別ページで書いてみたいと思います。

ダウンホーム

一乗寺通りの地下にありました。京一会館のそばです。
ここの売りは、なんといっても、「JBLパラゴン」というスピーカーでした。宇宙船かUFOを思わせるデザインで、バカでかく、何百万円するという高価なスピーカーです。
店内は薄暗く、まさに「アングラ」でした。
ここでの思い出は、アルバイト仲間のQちゃんと、そこでばったり出会ったことです。
同じ食堂(レストラン?)の厨房でバイトをしていたQちゃんは、パンクが好きで、髪を長く伸ばし金髪にしていました。
音楽の好みも生活スタイルも違うので、あまり話さなかったのですが、ある日たまたま「ダウンホーム」で会って、そのままQちゃんのアパートへ行き、その日は朝まで飲んで語り合いました。
ジャズ好きでなくても音楽好きが集まる店でした。
私はよくここに通って、店に置いてあった「カムイ伝」を読破しました。暇だったんですね…。

黙示録

白川通りにあった、カウンターのみの狭い店でした。もしかしたら窓際に小さなテーブルもあったかもしれません。
とにかく狭くカウンター中心の店でしたが、マスターが他の客と会話をしているのを聞いたことがありません。顔はさすがに覚えていないのですが、ひげをはやして、何となく私は勝手なイメージで、「達磨さん」みたいだな、と思ってました。
同じくここによく通っていた友人が、ここのマスターが昼間河原町で、氷を配達しているのを見た、と言っていました。 本当だったかどうか分かりませんが、「マスターも大変なんだなぁ」と感じたのを記憶しています。

しあんくれーる

荒神口にあるビルの2階にありました。
狭いのですが、音は良かった記憶があります。ここで私はマッコイ・タイナーの「Atlantis」を聴き、大きなインパクトを受けました。それからしばらくは、マッコイ・タイナー熱に取りつかれたのです。そんなきっかけを作ってくれた店でした。
これも当時の友人情報ですが、ママと呼ばれる人がいて(オーナー?)、ジャズ関係者の中では有名人だったそうです。でも、何がどう有名なのかは、友人もよく分かってないようでした。

めるへん

京大近く、吉田山のふもと辺りにあった店です。
確か文化住宅の2階にありました。 文化住宅なんて言っても、今は通じないでしょう。つまりアパートです。 普通のアパートの壁を取り払ったような感じで、とても喫茶店には思えない店づくりでした。
今にして思えば、よくあんな形態で店舗営業ができたな、保健所から何か言われなかったのかな、と思います。

蝶類図鑑

四条と三条の間、河原町木屋町の間にあった、知る人ぞ知るジャズ喫茶です。
2階にあったと思うのですが、高いところに明り取りの窓があるくらいで、昼も薄暗く、壁には蝶の標本が沢山かけられていました。結構、不気味でした。若い女の子は絶対来ない、という感じでした。
階段を上がっていくと、だんだんとジャズの響きが聞こえてきます。ドアを開けると音の洪水でした。かなりの音量で音楽を流していて、これぞジャズ喫茶という感じでした。 そして、しっかりコーヒーもまずかったです。(失礼!でも、もう閉店しているからいいですかね)

かっぺ

あまり知られていないと思います。北山通りの裏手、畑に囲まれた中にありました。
山小屋のような造りの店で、若い夫婦らしき人が営業していました。 カウンターもありましたが、だるまストーブみたいなストーブがあり、それを取り囲む感じで席が用意されていました。カウンターも好きでしたが、そのストーブの周りの席も好きでした。
かかるレコードは何故か、「マーキュリー」や「キャピトル」などのレーベルが多く、私にとってはなじみが薄いレコードものが多かった気がします。
私はいわゆるモダンジャズのど真ん中、「ブルーノート」「リバーサイド」「プレスティッジ」「インパルス」等々のレコードを聴いていたので、この店で流れる音楽は、自分の好みとは少し外れてました。 だけど、お店の雰囲気が好きなのと、大学の2回生以降は北山に住んでいて近所だったので、よく通いました。

 

my-jazz.hatenablog.com