Charlie Parker Story On Dial Volume 1 / Volume 2(チャーリー・パーカー)
パーカー絶頂期のDIAL録音
あらゆるJazzの入門書やJazzの歴史についての本を見ても、「チャーリー・パーカー」の名前は出てきます。
ビバップの父、誰もパーカーのようには演奏できない、Jazz界のレジェンドです。
チャーリー・パーカーは1920年生まれのアルトサックス奏者で、1955年には亡くなっています。その絶頂時の演奏が収められているのが、これです。
大変有名なパーカーですが、ジャズを聴き始めたばかりの人にとっては、どのアルバムから聴けばいいか、迷うのではないでしょうか。それならまず、この2枚からどうでしょう。
この2枚は「Dial」というレーベルで1946年~47年に録音された演奏から、後年ピックアップされて作られたものです。ベスト盤とも違うのですが、それに近い物と捉えてもらえれば分かりやすいかもしれません。
さて、この「Dial」ですが、おそらく一般に高く評価されているパーカーの演奏は、「Dial」というレーベルで録音されたもので、時期は1945年から1947年にかけてのものです。
「Dial」と並んで、パーカーの絶頂期の演奏が多数録音されたレーベルに「Savoy」もあり、1944年から1949年にかけて録音されています。
パーカーはどれから聴けばいい?
私もジャズを聴き始めた頃そうでしたが、特にパーカーはどれを聴けばいいのか分からないところはあります。 それはアルバムの作られ方にある気がします。
今は通常、アルバムが作られるときは、あるコンセプトに基づいて選曲や作曲がなされ、レコーディングされ、発売されます。 ですが、チャーリー・パーカーの頃には、どうも今のようなアルバム制作とは様子が違ったようです。
そもそも私たちが「アルバム」と呼んでいるアナログLP盤は1940年代後半に商品化されたので、パーカーがレコーディングを始めた40年代初めにはなかったようです。 そして、LPレコードがまだ実用化されるかどうかの時期に、パーカー絶頂期の「Dial」「Savoy」の録音はされました。だから「Dial」「Savoy」から出ているレコードは、コンセプトのある「アルバム」ではなく、録音された1曲1曲の集合体みたいなものかもしれません。
おまけの話・ジャズ喫茶スタッフ時代の思い出
後年アナログLP盤で、「Dial」でのパーカーの全録音が『Charlie Parker on Dial』という名称で、Vol.1からVol.6まで発売されていました。ここでは上で紹介した2枚に含まれている録音はもちろん、パーカーの「Dial」でのあらゆるテイクを聴くことができますが、同じ曲が何テイクも続けて録音されています。
私が学生時代、ジャズ喫茶でアルバイトしていたときのことです。
まだJazzがよく分からなかった私は、このレコードを営業中にかけてしまい、結果、店内にはパーカーの同じ曲の別テイクが次々と流れることになりました。
もちろん、それぞれのテイクは違う演奏であり、どれも聴く価値はあるのですが、パーカーファン以外の人にとっては、戸惑いを覚えるでしょう。ジャズ喫茶でいきなり流すにはちょっと無理があり、聴く人によっては単に同じ曲の繰り返しに感じるかもしれません。
そして、後年それらの多数あるテイクからピックアップされて、「アルバム」がリリースされました。
だから、パーカーのレコーディングは、もともと「アルバム」ということで録音されたものばかりではなく、まずどのアルバムがお勧めとは、とても言いにくいのです。
時代を越えて際立つ音、パーカー
その中で、上で紹介した2枚は、同じ曲が何テイクも入っていることはありません。つまり「Dial」に録音された、絶頂期のパーカーのエッセンスを聴くことができます。
メンバーもレコーディングした日が違えば変わってしまうこともあるため、一つのアルバムに、違った日の録音、違ったメンバーとの演奏が含まれることになります。
だから録音メンバーは紹介しません。書こうとすると、何曲目のメンバーは誰々で、何曲目は誰々で…と、やたら多くなってしまうのです。
パーカーのCDは、はじめパッと聴くと、本当に昔の録音だな、と感じると思います。特に初期の頃の4つ刻みのリズムや、音質などから感じます。
ですが、パーカーの音は古い時代のレコーディングをだと感じさせないほど、鋭く際立っています。
実際、生で演奏を聴いたらどんな音だったんでしょうね。